「うちの子がScratchで何か作ってみたいと言い出したけれど、親はパソコンに詳しくないし、何から始めさせればいいのか分からない…」――そんな保護者の方の声を、よく耳にします。
プログラミングは2020年度から小学校で必修化され、今や“やっておくと安心”ではなく“いずれ必ず触れる”科目になりました。
この記事では、東京都中央区のパソコン・プログラミング教室「プログラメイク」で講師をしているぴょろ先生が、Scratchでクイズゲームを作る学びの価値、よくある誤解、家庭で今日からできる始め方までまとめてお伝えします。
なぜ今、小学生のプログラミング学習が注目されているのか
文部科学省は2020年度から小学校でプログラミング教育を必修化し、2021年度には中学校、2022年度には高校でも「情報Ⅰ」が必修科目となりました。さらに2025年度の大学入学共通テストからは「情報Ⅰ」が出題教科に加わり、プログラミング的思考は受験にも直結する学力になっています。
背景にあるのは深刻なIT人材不足です。経済産業省の試算では、2030年に最大で約79万人のIT人材が不足する可能性があると示されています。つまり今の小学生が社会に出る頃、「コンピュータに指示を出せること」は理科や算数と同じくらい当たり前の素養として扱われるということです。
とはいえ、プログラミング学習の本当の価値は「将来エンジニアになるため」だけではありません。問題を小さく分け、順序立てて考え、うまくいかなければ原因を探って直す――この一連の流れは、勉強・スポーツ・人間関係まで応用が利く“考える力”そのものです。Scratchはまさにそれを楽しく身につけるための入り口として、世界中で使われています。
よくある誤解と、教室の現場で見えてくる本当の姿
保護者の方からよく聞く誤解を、現場目線で整理してみます。
誤解①「プログラミング=パソコンの前にずっと座らせる習い事」
実際には、教室の子どもたちは席を立って先生に作品を見せに来たり、隣の子と「ここどうやった?」と相談したりと、とてもアクティブです。むしろ“黙々と作業する時間”より、“考えて試して話す時間”のほうが長いほどです。
誤解②「算数や数学が得意な子向け」
これも違います。確かに座標や条件分岐は出てきますが、Scratchは数字より「やりたいこと」が先にあるツールです。以前、算数が苦手だと話していた小学4年生のRさんが、好きなアニメのクイズゲームを作るうちに「乱数って便利!」と自分から言い出した場面がありました。算数の点数ではなく“好き”が原動力になります。
誤解③「タイピングができないと始められない」
Scratchはブロックをドラッグして組み立てる仕組みなので、ローマ字入力ができなくても始められます。教室でも、年長さんから無理なく取り組めています。
動画でもっと詳しく見る:Scratchでクイズゲームを作ろう
今回ご紹介している動画では、Scratchを使って「問題を出して、正解ならスコアが上がるクイズゲーム」を作る流れを、初めての子でも追いかけられるように丁寧に解説しています。質問ブロック、もし〜なら、変数(スコア)といった、ゲーム作りの“土台”になるしくみを一気に体験できる内容です。9分ほどの動画なので、お子さんと一緒に観るのもおすすめです。
家庭で今日からできる3つのアクション
「教室に通う前に、家でも何かしてあげたい」という保護者の方へ、私がいつもおすすめしている3つの一歩をご紹介します。
① Scratch公式サイトに親子でアクセスしてみる
「scratch.mit.edu」にアクセスすると、誰でも無料で使えます。アカウント登録なしでも「作る」から始められるので、まずは猫のキャラクターを動かすところから一緒に触ってみてください。
② “クイズの問題”を紙に書き出してみる
動画と同じテーマで、お子さんに「3問だけクイズを作ってみよう」と声をかけてみてください。プログラミングの前に“何を作りたいか”を言語化する練習になります。
教室でも、いきなりパソコンに向かわず、まず設計図を書く子ほど作品が完成しやすい傾向があります。
③ 1日10分の「考える時間」をつくる
「テレビのリモコン、もしボタンが3つしかなかったらどう使う?」のような、答えのない問いをご家庭で1問。これだけで論理的思考の土台が育ちます。
プログラミングは“パソコンを触る時間”より、“考える時間”の総量で伸びていきます。
プログラメイクではこう教えています
プログラメイクは、小学生〜中学生を対象としたパソコン・プログラミング教室です。
Scratchはもちろん、タイピング、パソコンの基本操作、その先のテキストコーディングまで、お子さんの“好き”と“今のレベル”に合わせて段階的に学べる環境を整えています。
たとえば以前、人見知りで最初は「先生としか話せない」と言っていた小学3年生のSくん。
最初の月はマウス操作にも戸惑っていましたが、3か月目に自作のクイズゲームを教室で発表したとき、見ていた他学年の生徒から「すごい!」と声があがり、本人の表情がパッと明るくなったのを今でも覚えています。プログラミングは“技術”を教える場であると同時に、“できた!を積み重ねて自信を育てる場”でもあると、現場に立っていて強く感じます。
また、教室では「答えをすぐに教えない」ことを大切にしています。動かないコードに出会ったとき、私はまず「どうなってほしかった?」「今は何が起きてる?」と聞くようにしています。子どもが自分で原因を見つけて直す体験こそが、学校の勉強にも生きる“考える力”になるからです。
よくある質問(FAQ)
Q1. プログラミングは何歳から始められますか?
A.プログラメイクには年中さんから通っている生徒もいます。早く始めるほど良いというより、「興味を持った今」が一番のタイミングです。
Q2. 算数や数学が苦手でも大丈夫ですか?
A. まったく問題ありません。むしろScratchで「変数」「座標」「乱数」に触れることで、算数の単元が“役に立つもの”として腑に落ちる子がたくさんいます。算数の成績が後から伸びるケースも珍しくありません。
Q3. 家にパソコンがなくても始められますか?
A. ScratchはタブレットのブラウザでもOKです。ただし本格的に作品を作り込みたい段階になったら、マウスとキーボードのあるパソコン環境のほうが圧倒的に作業しやすくなります。プログラメイクでは教室のパソコンを使うので、ご自宅の環境が整っていなくても安心してスタートできます。
Q4. 体験レッスンでは何をしますか?
A. お子さんの興味とレベルに合わせて、Scratchで簡単なアニメーションやゲームを一緒に作ります。「うちの子に向いているかな?」を保護者の方にも見ていただけるので、入会前の判断材料としてご活用ください。
Q5. ゲームばかり作って大丈夫?
A. 大丈夫です。むしろ大歓迎です。ゲーム作りには、キャラクターの動き、条件分岐、点数管理、レベルデザインなど、プログラミングの主要素がぎゅっと詰まっています。「遊ぶ側」から「作る側」への視点の転換こそ、この習い事の大きな価値です。
